PTを教育する職業がある
以前他の記事でも書いたが、オーストラリアのパーソナルトレーニング業界は一般的にトレーナーがジムに対して家賃(施設の使用料と新規会員へのアプローチ権)としてお金を払う。
それに加えて、PTマネジャーと呼ばれるPTビジネスのメンターの役割の人からビジネスについてのアドバイスをもらうビジネスパックを家賃と別に販売している。
筆者のジムでは350ドルほどであった。(3万円ほど)
そのパックにはジム館内とホームページに掲載するプロフィール写真撮影、POPを館内に掲示する権利、全12回(3ヶ月間)週に1回のPTマネジャーとのミーティングが含まれている。クライアントへのコミュニケーションの取り方、マーケティングなどアドバイスをもらえる。
つまりオーストラリアにはPTだけでなくPTを教育する、マネジメントをするという職業があるということだ。
ジムの新しい収益モデル、ジム×不動産×コーチング
これはジムの新しい収益モデルと言っていい。
例えば、今筆者が契約しているジムのお客さんが支払う会費は月50ドルほど。
PTが払う家賃は月740ドル。つまり1人のPTと契約するだけで新規会員が15人増えたと同様のジムの収益になる。
その収益からPTマネジャーに支払う給与もあるだろうが、PTマネジャーがPTをコーチングするのは契約書には3ヶ月と書いてあるのでおそらく3ヶ月目以降はPTが支払う家賃はそのままジムの収益になるのではないかと考えられる。
つまり、PTにとっては、たくさんのクライアントを持つことができれば家賃は定額なのでセッション数が大きくなればなるほど利益も大きくなるし、ジム経営者側にとってもPTが成功してくれれば安定的に家賃収入が入ってくるというビジネスモデルである。
そしてジムとの契約によるが、最低契約期間は6ヶ月、契約終了する際には3ヶ月前までに通知が必要などという契約が一般的なので、長期に渡り安定的に収益が発生する。
ジムと不動産ビジネスとコーチングビジネスが組み合わさっているのがニュージー、オーストラリアのパーソナルトレーナー業界の形なのである。
日本では業務委託のトレーナーと契約しても、セッション1本の利益の30%をジムに支払うというような契約が多いように思う。
これはセッションの少ないトレーナーにはやさしいものの、セッション数が多いトレーナーにとっては支払う金額に天井がないため損である。
ジム経営者にとっては安定性に欠ける。
PTはここに注意
もしあなたがパーソナルトレーナーで、オーストラリアやニュージーランドで仕事をしたいと思っているなら、面接の際にPTマネジャーの力量や相性、施設をよく見極める必要がある。
ジムによるがPTマネジャーは新しいPTと契約を結ぶとインセンティブをもらえる。そのため、目先の金に目が眩んだPTマネジャーはとにかく多くのPTと契約しようとして小さなジムにPTが5人も6人もいるような状況を作ってしまうそうだ。
そうなるとPT同士でクライアントの取り合いになる。クライアントを見つけたトレーナーは良いが、そうでなければ家賃の支払いに苦しむことになる。
日本のジム経営者なら
もしあなたが日本のジム経営者なら、このビジネスモデルを取り入れてみてもいいように思う。もしくはPTと契約する時に業務委託型と家賃型を支払う2つのオプションから選ばせるのもいいかもしれない。業務委託の場合はコーチングなどは一切サービスに含まれず、家賃型のみコーチングが提供されるという差別化もいいだろう。
会員数が減れば家賃の支払いが利益を食い潰していくのはジム側も同じで、そこに安定した家賃収入があればよりローリスクでジムを経営できるだろう。
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