最近子どもができた友達が子どもの節句の写真を送ってくれました。それをきっかけにひな祭りや子どもの日について考え始めました。
というのも、ニュージーランドやオーストラリアといった多文化社会かつLGBTQフレンドリーな国に住んでいると、女の子の日、男の子の日という日が設定されていることにものすごい違和感をおぼえたからです。
ひな祭りや子どもの日がいつから始まり、どういう意味があるのか調べてみました。
ひな祭りと子どもの日の起源
以下、引用です。
ひな祭り(3月3日)
起源:平安時代(794~1185年頃)
発祥のきっかけ:
平安時代の宮中で行われていた「ひいな遊び(紙の人形で遊ぶ遊戯)」と、厄払いのための「流し雛(人形に穢れを移して川に流す風習)」が結びついたもの。江戸時代に入り、女の子の健やかな成長を祝う「ひな祭り」として定着。
こどもの日(5月5日)
起源:奈良~平安時代に中国から伝わった「端午の節句」
発祥のきっかけ:
元々は薬草(菖蒲)で邪気を払う日。武家社会になると、「菖蒲(しょうぶ)」が「尚武(しょうぶ=武を尊ぶ)」に通じることから、男子の健やかな成長を祈る日として広まった。
ここから見える日本人の性質
奈良時代や平安時代から現代まで同じ行事が続いているというのは驚異的です。
日本は長い歴史と伝統を持っていて、ほぼ単一民族国家として長い時間を過ごしてきたユニークな国です。
過去に倣うことを良しとし、だからこそ伝統が引き継がれるのですが、これはものすごくいい面でもあり悪い面でもあると思います。
例えば海外では子どもの成長を祝う日はあっても、ジェンダーによる伝統的な名残がある国は現在日本だけのようです。
(1948年に日本政府は5月5日を男女問わず全ての子どもの幸福を願う日とし、祝日に制定しました。しかし実際には女の子はひな祭り、男の子はこどもの日という文化は残っていますよね。)
かつて中国や韓国は日本と同じように性別によって子どもの日が分けられていましたが、現在は男女分けずに一律のこどもの日として統一されています。
その他アジア以外の国はもともと男女の区別がありません。
実際、中国や韓国でまだジェンダーによって分けられていた名残があるのかは不明ですが、どちらにせよ世界的にみて珍しいと言えるでしょう。
日本でジェンダーバイアスが強いのも納得できる
国家的なイベントとして親は性別によって異なる祝い方をし、子どもは物心がつく前からジェンダーに合わせた扱い方をされる。
これは平安時代の貴族、つまり男女が住む場所も分けられていた背景から起こった文化なので、性別で分けられているのも納得がいきます。
つまり、男女の社会的な役割や区別が明確だった歴史をもち伝統を大切にする民族だからこそこどもの日、ひな祭りという行事がいまだに残っています。
それは悪いこととは思いませんが、子どもが育つなかで「男の子は強く育って欲しい」とか「女の子は優しくおしとやか」いった「男らしさ、女らしさ」を無意識に刷り込まれて育ってしまうのではないかと懸念しています。
また、毎年のひな祭り、子どもの日という行事を繰り返すことで、親も「この子は男の子(女の子)だから」と子育ての中で性別を意識しすぎてしまう、ジェンダーバイアスのかかった発言が増えるかもしれません。
それが「男は泣いてはいけない」とか「女だからでしゃばってはいけない」というふうに、後々自分たちの首をしめるのではないかと思います。
筆者はどう思うか
筆者はトランスジェンダー(体は女性、心は男性)なので、子どもの頃、3月3日が女の子の日で5月5日が男の子の日というのにものすごく反発心がありました。
ひな祭りに祝われるのも嫌だったし、雛人形にも全く興味がありませんでした。
同級生がふざけて「4月4日は女の子の日と男の子の日の間だからオカマの日だな!」と言っているのを聞いて、「言い方は嫌だけど4月4日が自分の日かもしれないなぁ」と思ったのをおぼえています。
海外生活を経た今、日本で守られてきた歴史や伝統は素晴らしいものだと思うけれども、だからこそある意味日本人はそれに縛られているのではないでしょうか。
LGBTQはもちろん、LGBTQではない人も無意識に「男・女はこうあるべき」というジェンダーバイアスに縛られているような気がします。
ニュージーランドでは幼少期からジェンダーやセクシュアリティの多様性について絵本などで学ぶこともあるようです。
もし自分に子どもがいたら、男女関係なく5月5日にお祝いをして、お祝いの仕方は性別にからめず、その子自身が好きなことやものを選ばせようかなと思います。
また、日本の伝統であるひなまつりや子どもの日は美しく楽しいことでもあると思うので残ったらいいなとは思いますが、今後の日本では伝統は守りつつジェンダーの多様性やジェンダーバイアスについて教えるいい機会になればいいなと思います。
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